ご購入を検討している方へ

旧車バイクに限らず、バイクを買う場合、皆さんどのようなところを見て、判断し、買っているのでしょうか?
「まず値段と車種ありき」それは当然です。そしてその次に考えるのは、以下の3点です。

  • 「ある程度最初から、改造したものが欲しい」
  • 「外観ノーマル風だけど、エンジンはOH済で、マフラーとキャブを入れてある感じで」
  • 「フルノーマルで乗りたい」

1.「ある程度最初から、改造したものが欲しい」

特にこの中で間違いを起こしやすいのは、1.の最初から改造されたものが欲しい時です。
例えば、
「ホイール、スイングアーム、ブレーキもなんかが改造されて、かちあがったチタンマフラーなんかがついているZが150万でないかな」

などといっている時はとても危険です。

そんなこと考え出したら、すぐに色々調べ始めます。中古車紹介のネット検索、中古車の紹介雑誌を見て、自分好みの部品が付いているバイクが200万円で紹介してあったら、もう罠にはまり始めています。

たまたま少し遠くても、車で走って見にいける距離にあったなら頭は真っ白、冷静な判断などできるわけもありません。

直接見にいけば本当はもっとチェックすべきことがあるのに、現物のZが目の前にあるとお金のことを頭で考えはじめます。

「ついてるホイールが30万、スイングアームは15万くらいかな、ブレーキは20万、マフラーも20万ぐらい、キャブもFCRがついてて、ラッキーなことにエンジンOH済なんて言ってるし、オイルクーラーも付いてる。合計するとパッと見の部品だけで、解るだけでも100万はかかってる。エンジンもOH済って言ってるし、これならもう50万円出して、200万でも損はしないだろ」

このように、自分で考えたり、人が言ってるのを聞いたことがないでしょうか?

この付いている部品の合計金額のみで、バイクを判断するのは大変危険なのです。

私なら同じバイクを見てこう考えます。

「ついてるホイールは、いいメーカーのマグホイールだけど、型がかなり古い、見た目色が少しさめているだけだけど、25年位前のかな?恐くて使えないな。タイヤも古い。

スイングアームもきちんとしたメーカーのものみたい。古いタイプだけど品質自体は悪くなさそう。ただサス受けとホイールのシャフトの高さに差がありすぎて、リヤサスの長さは長くないのにリヤの車高が高いみたい。けど簡単には治しようがない。きっとハンドルが切れ込んで乗りにくいだろうな。スプロケットもやたら減っててチェーンは錆びてるし。

ブレーキは普通にブレーキキットで売られているものだけど、キャリパーを無理やりつけてるから、キャリパーサポートの肉厚が薄いとこがあって使えないな。ブレーキホースはやたら長いし、マスターシリンダーも古いタイプだな。サポートは作り直しか他のを買わないと。

マフラーはやたらうるさいけど大丈夫。でも、エンジンOH済で調子はいいって言ってるわりには、やたらタペット音がうるさいし、あちこちオイル漏れ。どこでしたのだろう。

キャブはFCRだけど加速ポンプが真ん中についてて、ビトー製じゃないし、やたら白い粉が吹いてて錆びてる。アクセルもすごく重たい。こんなあちこち悪かったら、他のフレームとか配線とかも怪しい。このバイク、買わないほうがいい」

と、こんな感じです。バイクの場合ついている部品は機能部品です。見た目も大事ですが、キチンとバランスがとれていて、走れる部品が付いているか判断しなくてはいけない。

まず最初に見たときについている部品の合計金額ではなく、その部品たちがどれくらい実際に使えるか考える必要があります。見た目や部品の合計金額だけにとらわれると購入金額がすべて無駄になってしまいます。この例で言えば200万円。大変な金額です。

ただこの150万円から200万円という金額はとてもZ系では目標になりやすい金額で、売る側もそれがわかっており、このような程度の悪い旧車バイクがこの価格帯でたくさん売られています。

上限金額が150万円から200万円と考える方はたいへん多く、この金額に合ったバイクが目の前にあると、冷静さを失い買ってしまうようです。
先程書いたように、この価格帯で数多くZ系は売られています。

この価格帯は「ボロは嫌だけど、きっと、そこそこ良いものが買えるはず」

と考えている人の価格帯ですが、ほとんど状態はひどいものです。

いままでこの価格帯のバイクを他店で購入し、調子が悪い、あるいは自分のバイクの調子は本当のところどうなの?などで、その後相談を受け、まともにするのにいくらかかるかを見積りした経験が数多くあります。

この手のバイクは変なフレーム補強が入れられていたり、エンジンもダメ、サスもダメ、ブレーキもなどとおおがかりになることが多く、最低限治すだけで150万円コースとなることが多いです。

ここまでくると直すつもりで当社にきた、かなりの決意を持った方でも、実際に治すという方は極めて少なく、別のバイクに乗り換える、気力を失い乗るのをやめる、そのまま音信不通になるなどとなります。

当社では、そういう場合は、乗換えをすすめます。結果的に長い目で見ればその方がプラスになることが多いためです。ただ金銭的にとても過去の失敗が、大きく足を引っ張るので(ローンの残りなど)かなり難しいです。

付いている部品たちが悪く、適当に何も考えず組んでいて、そのような交換、手直しする部品がたくさんついているバイクは絶対に買わないほうが良い。

そう断言します。かえって高くつきます。ただこの判断は非常に難しく、最初から大掛かりな改造してあるバイクを購入するのはとてもハードルが高いといえます。

こういう付いている部品から解ることと、店側がいうOH済、という上っ面の情報だけでの判断でも、フレームなんか見るに値しない、はなから論外と判断できるバイクは大変多いのです。

逆にフルカスタムまでしてあって、自分好みで、本当に良いものなら大変お買い得といえますが、ほとんどでてきません。

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2.「外観ノーマル風だけど、エンジンはOH済で、マフラーとキャブを入れてある感じで」

やはり旧車バイクを購入するにあたっては、
2.「外観ノーマル風だけど、エンジンはOH済で、マフラーとキャブを入れてある感じで」
が金銭的にも普通に乗れる良いものを手に入れやすいです。

当社の場合のチェックポイントは2.のような旧車バイクの製作注文の場合、オリジナル(純正の部品)がなるべくたくさん付いているものに目をつけベース車輌として購入します。

具体的には、ガソリンタンク、キャブレター、足周り、メーター回り、ウインカー、ステムテールランプ回り、など、車体の各部品がオリジナルかどうか、この部分でかなり判断できます。
当然たくさん純正部品が残っているものの方が、良いバイクと判断します。

その後、車体、エンジンについている、ボルト、ナット類がオリジナルの物かどうかを見ます。
これらの判断には知識と経験が必要です。

ついでにエンジンのガスケット類が純正かそうでないか、ガスケットが新しかったり、純正でない場合は、最近開けたものか、昔開けたものかを見ます。

これの判断基準は、純正のガスケットでエンジンを開けた形跡がない物が一番良く、開けたものであれば、最近開けたものより、昔あけたものの方が良い場合が多いです。昔とは何十年とたっていそうなものです。ガスケットの材質、雰囲気などでおよそ解ります。

そこまで見て、使えそうと判断したなら、エンジンしたのフレームのダウンチューブや、定番のハンドルストッパー周辺の状態(ステム側でなくフレーム側)、フレームのウインカー取り付け部周辺などを見ます。

ここで不自然なへこみ、うねり、溶接痕、修正した後がないかを確認します。軽い転倒でもウインカー部周辺やハンドルストッパー部も曲がりますから、「ここまでは大丈夫」という判断には経験が必要です。特にウインカー周りは簡単に曲がります。Z1などは普通に走るだけでも定番のクラックが入るところがあるので、それは問題視せず後でフレーム単体などにすることがあれば溶接し、修理します。

ここまで大丈夫であれば、タンクやサイドカバーを外しフレームや電装系を見ます。フレームは不自然な部分はないか、変な溶接痕などないかを見ます。

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3.「フルノーマルで乗りたい」

3.「フルノーマルで乗りたい」であっても基本は2.と探し方は一緒なのですがよりオリジナルパーツが残っていて程度の良いものを探します。フルノーマルにこだわるほど金額は高くなります。ベース車輌だけでも高額で250~350万などと売る側に言われる時もあります。
ただここまで高額なものは当社でベース車輌としては購入したことはないです。

ただ本当にオリジナルにこだわる方は、実走行が少ない、新車時のタイヤを履いているような物を購入すべきです。後でどんなに部品を集めてもこれに勝る物はありません。ただ、そうなるととても高いです。

このように2.「外観ノーマル風だけど、エンジンはOH済で、マフラーとキャブを入れてある感じで」3.「フルノーマルで乗りたい」のチェックポイントはほとんど同じです。

なぜこのように純正部品がついたものをよしとするのかは、実際にすべてバラしてみれば一目瞭然です。少しバラしたことがある、あるいは1台、2台バラした程度では判断がつきません。ですが、たくさんバラして実際にたくさん見て触って経験すると程度の良いベース車輌にすべき物は純正に近いものの中にあると解ります。

当社では毎日、全バラした車体や、エンジン部品を見たり触ったりしています。

その中、先程のチェックポイントをキチンと見て購入した物は圧倒的に程度が良く、痛みが少なく特に負荷が大きくしょっちゅうギヤチェンジを行うミッションなどは差が大きく、良い物はあまりの程度の良さにびっくりします。
製造されてから30~40年もの年月がたっているとは思えないすばらしい状態なのです。

良いものを手に入れたいのなら最終的にチューニング車輌にするにしても、そこまでしなくても良いベース車輌にきちんとした整備やレストア、チューニングを施して乗るのがベストです。
この部分で勝負は決まっています。同じ金額を投じるのなら、完成度は大きく違ってきますし無駄なお金は使わずにすむのです。

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